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活動レポート
第30回SCHECカンボジア支援活動報告  17年4月
 2002年6月にNPO法人として設立したSCHECも今年で15年目を迎え、4月21日から26日までいつものようにカンボジア支援活動を行って参りました。通算30回目となります。キャンセルが出たために参加者は当初の予定より少なく、5人というこれまでにない少人数の活動となりましたが、その分、和気あいあいとした雰囲気の中での活動でした。
 異常気象なのでしょうか、4月は半年続く乾期の最後の月で、例年であれば最も乾燥がひどく、1年の内でもいちばん暑い季節のはずですが、今年はいつになく雨が多いとかで、比較的穏やかな気候の中で過ごせました。スコールの後の、木々を揺らす風に心地よさを感じました。
 今回はみなさまのお陰で新たに59本のご寄付をいただき、為替差益分と合わせて70本の井戸を掘ることができました。また、今年から歯科保健衛生向上のために重点地区として活動することになったスレノイ地区の2つの小学校を視察、さらに島村様から昨年11月に続き2校目の校舎建設資金をご寄付いただきましたので、今年の11月完成をめざして建設予定地を視察してきました。
▲村人達に線香を上げていただきました
【井戸掘り活動】

 大宮シティロータリークラブや世界地図社には毎回ご支援いただき、またセクダム社、水谷正子様からも昨年に続き、多額のご寄付をいただきました。
 特に水谷様には個人で昨年11月の20本に続き、今回も20本ご寄付いただきました。ところが、紹介者の方から出発間際に連絡が入り、4月16日にご病気で亡くなられたとのこと。線香を持参して水谷様にご寄付いただいた井戸に供え、ご冥福をお祈りすることといたしました。その旨、現地のスタッフにも伝えましたところ、いつも様々な手配に苦労してくれている女性のサンボさんが自分の家で採れた花を花瓶に入れて用意しておいてくれ、しかもカンボジアの太くて長い線香までたててくれました。バナナの木を輪切りにして土台にし、そこに線香を刺して供えました。
 ご寄付いただいた20本の井戸はメンチェイ地区の3つの村で掘りました。地区長ほか、各村長や村の幹部たちもわざわざお越しくださり、その井戸を利用する人たちとともに、水谷様のご冥福をお祈りしてくださいました。「きれいな水を支援してくださった水谷様に村の人間を代表して深く感謝するとともに、ご冥福をお祈りいたします」とトーン・プーン・トーン地区長からお礼の言葉がありました。
 翌23日からはさらに奥の村に入りました。カンボジア人(クメール人)の聖地、クレーン山を遠景にした村々で1本1本の井戸を回ります。さすがに日中の暑さは昼食時のビールの「のど越し」を潤わせてくれました。人家の点在する地域に活動場所が広がったことと例年の活動で井戸が次第に行き渡るようになったせいか、井戸1本当たりの利用世帯数も減ってきて、平均すると3世帯というところが増えてきました。今回は「東洋のモナリザ」として有名な彫刻のあるバンテアイ・スレイ寺院の近くも回りました。
▲古い校舎で授業中
▲教室を風が吹き抜けます
▲壁面にアンジェリーナ・ジョリーの名が
【学校建設予定地・歯科診療活動予定地視察】
 校舎が古くなっている小中学校はいたるところに見られます。その中の一つ、「タ・プーク小学校」を23日に訪ねました。96年に建てられた木造の校舎で、壁一面にペンキで鮮やかな模様や算数の九九が描かれている小学校でした。
 現在、幼児から小学4年生までの70名が2部制で通っています。雨漏りがし、屋根の瓦が風に飛んで危ないとのことで、親があまり行かせたがらない結果、各学年10数名の生徒しかいません。小学校5年、6年生は2q離れたステン小学校に通っているそうです。 校庭の鉄棒や井戸などをよく見ると、日本の労働組合が寄贈しているのが分かりました。 ここに校舎を建てても、小学5年、6年生が戻ってくる保証はなく、生徒数は200名にもならず、むしろ減少の傾向にあるというのが現地の見方でしたので、労働組合に連絡をとり、何らかの方策を取ってもらう方がよいと判断しました。

 25日に歯科診療活動のためにスレノイ地区の2つの小学校を訪ねました。その一つが幼児から小学6年生まで生徒数873名のスレノイ小学校です。地区の中心地から3q程離れたところにあり、鉄筋コンクリートの校舎2棟と木造の校舎2棟の11教室に2部制で22クラスがあります。ただ、96年に建てられた木造校舎の床は土間のままで、天井や壁が破れ、壁と土間の間は隙間が続いている状態でした。もう一つの木造校舎は4年前に父母会が集めたお金で建てられたとのことですが、竹で斜めに格子状に荒く編まれた吹きさらしの壁です。どちらも雨の日にはとても授業どころではないと容易に想像の付く建物でした。
 生徒数といい、校舎の古さといい、木造校舎の代わりにここに新校舎を建てたいと考え、ご寄付いただいた島村様にご相談したところ、即座にご了解いただきました。今年の11月に竣工式を執り行う予定です。
 因みに鉄筋コンクリート校舎の1棟は、2002年にアメリカ人女優のアンジェリーナ・ジョリーが寄贈したもので、今も銘板が校舎の中央に掲げられています。折しも監督としてカンボジアの女流作家ルオン・ウン原作『最初に父が殺された』の映画化が話題になったばかりです。アンジェリーナ・ジョリーの建てた校舎の隣に島村さんの校舎が並ぶというのも話題性があるのではないでしょうか。
 スレノイ小学校のポーム・ソポン校長によれば、教師が生徒たちに歯科衛生教育を行っているものの、歯ブラシを購入できないので、単に知識のみ、実際のブラッシング指導は難しいとのことでした。
 また中心地から約11q離れたラビア小学校を訪ねました。幼児から小学6年生まで2部制で506名が通っています。アシスタント(副校長)のティム・ダラーさんによれば、毎年5月に1回だけ「INTERVITA」というNGO団体の人が2人で来校して教師に歯科衛生教育をし、教師を通じて生徒にブラッシング指導を行っているとのことでした。また歯ブラシは寄付金で購入して生徒に与えているとのことでした。
 職員室には生徒たちのデータがしっかり管理されており、SCHECが生徒たちの歯科検診を継続して行うにはちょうどいいのではないかと思いました。
 11月のSCHECの歯科診療活動には両校とも協力してくれるとのことでした。
【その他のこと】

 先にも述べましたが、早いもので今年はSCHEC設立以来15年目を迎えます。1999年11月に当初4本から始まった井戸掘り活動も、NPO法人設立後、飛躍的にその数が増え、今回で合計2890本となりました。その間、簡易水道も2基(1基あたり約350世帯)建設しました。また小中学校はこれまで24校を建設し、今年11月でちょうど25校目となります。ご寄付いただいた方のご希望の名前とカンボジア語で希望を意味する「サンキム」の言葉を付して、サンキムシリーズとして、学校建設に携わってまいりました。その中から、コックトロックルー・サンキム中学校の生徒たちの日本語を習いたいという要望に応えて、今では大分グループ中心の活動として毎週日本語の授業を行うまでになりました。
 歯科診療活動も2〜3班に分かれ、農村の奥地に分け入り、炎天下に野外診療所を設けて活動を続けてきました。最初の内は仕方なく抜歯治療に甘んじざるを得ませんでしたが、機材も次第に整うようになり、今は歯の保存治療を中心に活動しています。また予防の観点から小中学校の歯科検診を続け、歯科衛生士たちが中心になってブラッシング指導も充実してきています。
 こうした活動を続けてこられたのも、ひとえに皆様のご厚意とご支援の賜物と思います。 最近のカンボジアは経済発展が目覚ましく、毎年7%台の経済成長を続けています。しかし、ありきたりに言えば、都市部と農村部、農村部でも国道沿いと奥地ではますます格差が拡がっているように感じます。成長から取り残されている地域も多く、まだまだ支援が必要です。かの偉大なるイチロー選手は「継続は力なり」と言いました。SCHECも同様です。今後とも何卒みなさまのお力添えを賜りたく、よろしくお願いいたします。
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