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活動レポート
第33回SCHECカンボジア支援活動報告  18年11月
 2018年1118日〜26日まで、第33回目のSCHECカンボジア支援活動を行って参りましたので、ご報告します。今回は歯科グループが19名と例年に比べ少なかったものの、井戸・学校視察グループが29名で総勢48名の団体となりました。人数が少ない分、小回りが利いて、いつもとは違った形で充実した活動ができたのではないかと思います。

 今回はSCHECのホームページを見て北海道から佐藤さん、また独身時代に参加された渡邊さんが中学1年の娘さんと一緒に、以前、開校式で歌を披露してくれた歌手の蛯ゥおりさんのお母さんと妹さん、この数年、毎年10本近くの井戸を寄付頂いているセクダム社の竹下社長夫妻、また、梶原理事率いる大分グループにも初参加の方を得て、それぞれにカンボジア・シェムリアップの空気を満喫されたのではないかと思います。

 以前、別の団体で井戸を寄付されてきた佐藤さんは、ご自身が技術者ということもあってか、ことのほか井戸掘削作業にご興味を持たれていたようでした。また、中1の莉予さんは最初のうち戸惑っているように見えましたが、訪問した児童養護施設で、昨年寄贈したキーボードを楽譜なしで演奏してくれました。自ら名乗り出て演奏してくれたものです。

 大分グループのみなさんは日本語授業を実施しているコックトロック・ルー・サンキム中学校でいつものように生徒と交流後、校長他、村長、教育委員長、日本語を教えるカンボジア学生らとランチボックスを食べながら、今後のことについて語り合いました。せっかく日本語を勉強しても、現在のカンボジアでは生かす機会がまだまだ少なく、将来的には日本での勉強、就職のためにどんな準備をしたらいいかなどについて話し合いました。

 生徒たちからも日本へ行くための手続きやカンボジアでの勉強について、積極的に質問がありました。

 今回の活動では、3校の開校式の他に、一昨年、昨年に島村さんのご寄付で建てたラバック・平井・サンキム小学校とスレン・島村・サンキム小学校を訪ねました。昨年、急遽参加できなくなった島村さんの希望で、池上・滝沢グループの面々が中心になって交流してきました。スレン小学校ではトイレの建設を約束してきました。特に女の子にとってはトイレのあるなしは大切な問題です。またラバック・平井・サンキム小学校では校長の頑張りもあり、カンボジア人の教師による英語の授業も復活しました。新しい校舎ができたことで、それまでの校舎を英語授業にあてることができるようになったということです。英語授業の復活のためか、現在500名以上の生徒が通うようになったそうです。以下は島村さんのレポートの要約です。

<まず、ラバックについてですが、現地校長の積極的な明るい学校運営に感心しました。5教室の新校舎と従来からの3教室、英語スクールように2教室の校舎がコの字型に並び、壁の色も新しく塗り替えられ、全体的に清涼感がありました。教室内は新旧の差はありますが、それぞれ目的別に使用されています。新校舎の校長室には開校式の模様を写した写真が飾られ、心遣いを感じました。
授業は2部制で、午前7時より11時までが午前の部、12時から5時までが午後の部です。英語スクールは午前11時より12時までと午後5時より6時までの2回で、地域内のカンボジア人が無料で教えているとのことでした。公立の小学校で英語授業をしている小学校は他にはないのではとのことでした。要望が2つ出ました。新しい校舎に設置した図書室を充実させたく、日本語のものでいいので、漫画の本が欲しいこと、現在、校長が自宅から引いている電気を公道から直接校舎に引き込んで欲しいことの2つです。
 スレン・島村・サンキム小学校についてはともかくもトイレの必要性を感じ、早急に設置する方向で話をしてきました。>

 また、卓上ミシンの寄贈から縁の始まった児童養護施設のHONOUR HOUSEも、昨年3台のキーボードを贈った施設をぜひ訪ねたいとの島村さんのご希望で訪ねたものです。訪問するにあたっては、施設の要望を予めお聞きし、ホワイトボード11台、扇風機7台(壁取り付け用)を島村さんより寄贈していただきました。また先のように中央区で集めた文房具、新宿ゴールデン街で集めたバッグ類をプレゼントしました。
 児童養護施設では、同行した理事長を先頭に、歯科衛生士さんたちがおよそ100人の子どもたちを前にブラッシング指導を行いました。ライオン鰍ゥらご提供いただいた歯ブラシを全員に配って指導しました。また初めての試みとして、武蔵野大学看護学科で教鞭をとられてきた看護師の伊藤さんが「手洗い指導」を行いました。
以下は伊藤さんのレポートです。

     
 
 


<子どもたちの笑顔を守りたい          伊藤和子
 世界では、毎日15000人の5歳未満児が命を落としているといわれていますが、SCHECの活動地であるカンボジアも、5歳未満の子どもの死亡率が出生1000人あたり31人と、アジアの中でも高い国の一つです。この数は死亡率が出生1000人あたり3人である日本の約10倍になります。そして、乳幼児の死亡原因の多くは、日本であれば助かるはずの肺炎や下痢症などの感染症が占めています。これらは、適切なワクチン接種や手洗い、歯磨きなどの感染症対策で予防可能であり、守れるはずの命です。カンボジアでは、保健の授業はなく感染症対策、衛生への意識は高いとは言えません。

今回3日間の活動の中で、歯科衛生士によるブラッシング指導を小中学生対象に実施しましたが、児童養護施設を訪問した際、ブラッシング指導に合わせ、手洗い指導もさせていただきました。この施設では、液状の石鹸が手洗い場にしっかり設置されており、先生から子どもたちに手洗い指導もおこなわれているようでした。しかし、学童期の子ども達ですから、生活習慣として手洗いができるようなるには繰り返しの指導が必要です。まず、初めに手洗いの重要性についてお話し、その後、前に出てお手本を見せてくれる人と聞くと元気に10人程の子どもが手を挙げてくれました。真っ先に手を挙げてくれた男の子に実際に石鹸を使った手洗いをしてもらい、みんなの見本になってもらい、配布した「正しい手洗い」のクメール語のリーフレットを見ながら、みんなで手洗いの順番とポイントを確認しました。実はこの活動の期間中はカンボジアの水祭りがあり、この施設でも楽しいイベントが準備されていました。歯磨きや手洗いの話を聞きながら、早く遊びたくてそわそわしている子どももいましたが、それでも真剣に手をこすり合わせる子ども達の様子を見ることができ、嬉しく思いました。

カンボジアの郊外での診療に入ると、腸チフスや結核など感染症の既往があるお子さんに多く出会います。日本で点滴をする際、針を刺す部分をアルコール消毒しますが、カンボジアでは、小さなアルコール綿で消毒するだけでは、とても清潔に針を刺すことができず、まず石鹸で腕全体を洗うことからしなければなりません。また、マラリアの原因となる蚊もいる、衛生状態が不十分な環境を裸や裸足で歩く子どもも多く、手足や爪は土などで汚れているため、小さな傷や虫に刺された皮膚を清潔ではない手で触れることで、ばい菌が入り膿瘍になってしまったり、目をこすったりしてしまうことで目の感染症になってしまうリスクも高まります。私のような看護師にとって、病院での治療や看護だけではなく、こういった感染症から子ども達を守るために、正しい知識を教え広める衛生教育やインフラの整備に携わることも役割の一つであると考えています。

手洗いは誰にでもできる、最も基本的で重要な感染症対策です。ただ、知識を提供するだけでは、習慣には繋がりません。課題はまだまだあると思いますが、先進国であっても、途上国であっても人は誰もが健康的で幸せな生活を送る権利があります。平均年齢24歳と若く、エネルギッシュなこのカンボジアで、若い世代に衛生教育を行なうことは、次の世代の健康をも守ることにつながると信じています。>

以下はSCHECの今回の活動についてです。

【井戸掘り事業】

 新たに87本の井戸を寄付していただき、為替差益分と合わせて100本の井戸を掘ることができました。参加者が自らの井戸を視察できることを最優先し、残った分は23日に山中事務局長と現地作業員のバイクの後ろに乗せてもらって回りました。ふだんデスクワークの多い弁護士の山中事務局長には少々辛かったようです。途中で1回、バイクごとひっくり返ったとのことでした。

 かつては井戸1本当たりの利用数が5世帯〜10世帯というのが当たり前でしたが、今回は比較的人家の集中している村々に井戸を掘ったためか、1本当たりの利用世帯数は3本前後と少なめです。ですが、われわれが井戸を掘る農村地帯はプノンペンやシェムリアップなどの都市部とは違い、水道が届くのはまだまだずっと先のことですので、手押しポンプ付きの井戸の有効性がまだまだ高いのが実情です。

 1世帯あたり父母、子供3人、それに祖父母をいれて、5人〜7人が利用すると計算しております。

 
 
【学校建設活動】

 今回は故・渋谷寿代さんの基金から、3校の小学校を建設しました。いずれもクロラン郡です。4月に建てたサンボア・寿代・サンキム小学校、プームコムルー・寿代・サンキム中学校と同じ郡です。途中、4月には未完成だった両校に立ち寄り、完成を見届けてきました。

 プームコムルー・寿代・サンキム中学校の真新しい2階建て校舎の脇には、渋谷さんのカンボジア式のお墓を建てました。太陽の光を受けて、黄金色に輝いています。クロラン郡に建てた5校に寄り添い、カンボジアの子どもたちを見守って下さることでしょう。

 3校の小学校は1119日午前にアムピル・寿代・サンキム小学校、20日午前にナチュル・寿代・サンキム小学校、21日午前にタセン・寿代・サンキム小学校の開校式を執り行ってきました。4月と同じく、渋谷さんの生前をよく知るご友人が書かれた渋谷さんのお言葉やお気持ちを毎回参加いただいている木村正子さん、山内徳子さん、そして毎回井戸をご寄付いただき、今回初参加の竹下依子さんに代読していただきました。

 最近の開校式で国会議員シアン・ナム氏のあいさつの定番になっているのが、生徒を前に出してのクイズ形式の問答です。永井理事長や寄付者、そして渋谷さんの名前を覚えてもらうために、半ば、からかうようにして、子供たちに質問攻めします。生徒や集まった村人たちの笑いが絶えません。返事に詰まった生徒のために、ナム氏の後ろに控える参加者が大きな紙に書いた答えを生徒に見えるように差し出して、いっそう笑いを誘いました。

 20日、21日は開校式に参加した歯科衛生士さんたちが教室に生徒を集めて、口と歯の模型と大きな歯ブラシで、ブラッシング指導を行いました。歯ブラシを口に当てがい、真剣な面持ちで指導を受けていました。


 
【歯科診療活動】

 今回は人数が少ないこともあり、毎日の診療場所は1か所のみとなりました。19日はこれまで続けてきたコックトロック・ルー・サンキム中学校で、あとの2日間はスレノイ・赤坂・サンキム中学校で行いました。なぜか、この1年の内に高校に変わっていたということですが、高校も不足していることは間違いありません。

 毎回、我々の活動には、シェムリアップで開業するタンメン・ヒア先生と看護師の資格を持つ奥様、それにそこで働いて独立した歯科医が手伝って下さいます。そして、我々の知らないところで、その日に診療を受診できなかったとか、更に治療した方がいい生徒のために、診療無料券を配っておられました。後日、3人の女子高校生がそこから60qも離れたシェムリアップの町にあるタンメン・ヒア先生の歯科医院まで治療を受けに来たとのことでした。

 以下は關田理事のレポートです。

 <20181119日より3日間、SCHECの活動拠点であるシェムリアップ州で歯科診療活動を行いました。例年より歯科活動参加者は19名と少人数でありましたが、少数精鋭で、例年より中身の濃い活動が提供できたと思っています。

SCHECの活動拠点である、シェムリアップ州東部のコックトロック・ルー・サンキム中学校、州北部のスレノイ・赤坂・サンキム中学校(高校)に加え、今回SCHECが教室を寄贈した州西部の3小学校のうち2校で歯科活動を行いました。

今年の参加者、特に歯科衛生士の結束は良く、1ヶ月前の参加者説明会の後も、歯科衛生士の方々で現地の活動についてデスカッションを重ねたそうです。そのため、主に集団での口腔擦掃指導でしたが、個々に歯垢の染め出しなどを行い、口腔ケアの重要性について、ブラッシングヘのモチベーションの向上も図れるよう努力されています。

SCHECが数年に渡って拠点地区としている場所では、住民および学生の口腔への意識が高くなっています。無料治療への期待だけではなく、口腔ケアの重要性、また審美性も気にするようになり、歯石や着色の除去を希望する人たちが増えています。私たちの活動を年に1回の口腔審査(+クリーニング)と考えているようで、そのため今までより歯科衛生士の活動範囲が増えてきている状況です。しかし、これは本当の意味で口腔機能への意識が高くなったのか、または綺麗になりたいとの感情からなのかは解りません。口腔の状態から推察するに、口の審美性には注意が行っているようですが、口腔の健康維持という観点からのセルフケアに対するモチベーションはまだ低いように感じます。女学生は特に審美性は気になるようでした。動機はともあれ、徐々に総合的に口腔保健の重要性が伝播されていくことを期待しています。

3日間の活動の成果です。

1日目。コックトロック・ルー・サンキム中学校(州東部)では、8教室で、学生に歯垢染め出しを行う半個別的なブラッシング指導を300名の学生に行いました。並行して行った地域住民への歯科治療は約70名でした。

2日目。SCHEC赤坂デンタルセンターの置かれているスレノイ・赤坂・サンキム中学・高校で300名の学生にブラッシングの集団指導を行い、地域住民への歯科治療は約70名でした。また、SCHECが寄贈し開校式を行ったクナチョル・寿代・サンキム小学校では歯科衛生士を中心とした別班により200名の小学生にブラッシング指導を、その後の児童養護施設の訪問では一般衛生として、日常の手洗い方法を看護師を中心に実技指導が行われました。

3日目。2日目と同じくスレノイ中学(高校)で残りの300名の学生に対し口腔指導を、地域住民約70名に対し歯科治療をおこない、また、開校式の行われたタセン・寿代・サンキム小学校では2日目と同じく歯科衛生士を中心とした別班により200名の小学生にブラッシング指導を行いました。合計すると3日間の活動で、我々が行った診療活動は約1500名のカンボジアの方々に対応したことになります。

年々、シェムリアップ州の人々は、我々が行う診療への希望が痛む歯の抜歯より歯牙保存の方向になっています。良い方向に向かっているように見えますが、口腔機能としての咀嚼や発音よりも、審美性に注意が注がれているように思われます。国道や観光地から一歩内側に入ると、村の感じは10年前と殆んど変化は無いですが、裸足や裸の子供は少なくなり、少しずつレンガ造りの家や、家屋の中にコンロがある台所が見られるなど衣食住のQOLが良くなる傾向にある様に見えます。歯ブラシの購入に余力を割いていただき、ブラッシングが口腔機能、審美性の維持に重要であることを理解し、習慣化していただけることを期待して活動を続けたいと思っています。

今回の活動には3人のカンボジア王国の歯科医師免許を有する先生が参加していただけました、シェムリアップ州では50件近くの歯科医院がありますが、歯科医師免許を有する先生は数人です。地域の先生3名が協力していただけたのは大変心強いものがあります。我々の活動はカンボジア王国14州のうちシェムリアップ州に限ったものです。国の多くの人々を対象にして漫然とした状態で、ただ歯科処置を行うのではなく、州内の人々を対象とし、地域の国会議員や歯科医師の人たちと共同で口腔保健の向上に務めています。今回は診療1日目の中学校の先生が我々の活動の状況を撮影し、後日メールで200枚以上の写真を提供してくれました。この行為も、希望ですが、学校の先生も我々の活動に何らかの期待を抱いているのではと思っています。SCHECが活動地域としているシェムリアップ州で、国会議員、歯科医師、学校の先生達と共同して口腔機能、そのセルフケアの重要性について啓発し、学生達を通じ、将来その学生が家族を持った時にカンボジアの口腔状態が良くなることを夢見ています。>

     
【来年の学校建設について】

 1122日、国会議員で我々のパートナーであるシアン・ナム氏の案内で、小学校、中学校の視察をしてきました。また25日にはナム氏の出身地のコンポンチャム州まで出向き、中学校の現状を視察してきました。農村の奥地に入れば入るほど、まだまだ取り残されている地域が多いことが改めて分かりました。以下は視察した小・中学校の概略です。

1オーマル小学校:シェムリアップ州クロライン郡サンボア地区オーマル村
 この地は国道6号線を西方面に向かい、ずいぶん進んだところからトンレサップ湖へ向かうように左に折れ、隣の州のバンテアイミエンチャイ州の州境にあります。
 
4月、11月に建設したサンボア小学校、アンピル小学校からほぼ7qです。雨季はトンレサップ湖の水かさが増して辺り一帯は水没し、主な交通手段は舟となります。現在、ナム氏が私財を投じて、45qの道路建設としていますが、まだ工事中で、でこぼこしたその道の先に建設候補地がありました。村を流れるスレン川の対岸はバンテアイミエンチャイ州で、5教室の新しい小学校が見えるのですが、そこに通う生徒は親戚がいるなど、ごく限られた生徒でしかなく、ほとんどは45q先の小学校へ通っているのが現状とのことでした。雨季には舟で通います。生徒数は197人(女生徒101人)です。
 トンレサップ湖まで乾季は
10qほどの距離がありますが、雨季は水没するために、まず1mのコンクリートを張り、その上に校舎を建設するとのことでした。

2)センソック中学校:シェムリアップ州クロラン郡センソック地区チュローニアン村
 現在、平屋の6教室の1校舎だけです。321人(女生徒174人)が通っていますが、政府の方針として地区に1つの中学校の実現が原則で、現在16カ村、16の小学校の卒業生が通っています。当然、毎年の卒業生を受け入れるだけのキャパシティがなく、多くの生徒が待機児童となっています。
 5教室の校舎の増設で250人が通えるようになるとのことでした。地区長によれば、現在、同地区の人口は9746人、1953世帯とのことです。
 すでに29000uの土地が確保されていて、やがては高校も作りたいとのことでした。
 ナム氏との話では、プームコムルー中学校のように2階建ての校舎が欲しいとのことでした。建設には6カ月かかるとのことで、開校式は来年の11月となります。

3)コサムローン中学校:コンポンチャム州コンポンチャム郡コサムローン地区プームティモイ村

 現在の生徒数238人(女生徒118人) 来年100人増の予定8村対象で一番遠い村は7q離れている。人口6750人、1548世帯。
 コンポンチャム州はきずな橋というメコン川にかかる全長1360mの大きな橋があります。日本の無償援助で2001年にできた橋で、カンボジアの重要な交通の要衝となっています。それまでは渡し船でメコン川を渡るしかなく、きずな橋ができたおかげで、物流が飛躍的によくなり、経済発展にも繋がりました。紙幣のデザインにもなっています。
 実は45年前にも訪れたことがあります。その時は市内の川沿いにある自宅を訪ねましたが、内戦時代の銃痕がそのままになっており、大変な経験をされたのだなと思っていました。ところが、今回の訪問で実は広大なメコン川の中の島が出生地で、10歳のときにメコン川の氾濫で家が流されたのを機に、島を出たということが分かりました。今も大変貧しい島で、ナム氏はこれまで毎年、資金援助をし、島出身の大学生50人ほどをシェムリアップの自宅の寮に住まわせ、給与も与えて面倒をみているとのことでした。
 毎年、7月から10月にかけて水かさが増し、島全体で水没するところが多く、ナム氏によれば、半年は水に浸かっている状態だと言います。
 島のランドマークでもある寺院の壁は高さ1m半ほどのところまで、水に浸かったシミの跡がありました。そこから少し離れた中学校を訪ねると、木造校舎が一つ、レンガがむき出しになった校舎が一つ、そして、高床式の4教室の校舎が一つあるきりでした。
 木造校舎は水没の影響で末に使い物にならず、レンガ造りの校舎も寄付者が途中で亡くなり、そのままになっているということでした。半年は水没して用を足さないことは明らかでした。唯一、高床式の校舎だけが使用されているようですが、これも2005年に国が建設したものということ。生徒の増加に全く対応できていないとのことでした。
 高床式の校舎を建設したいとのことで、ナム氏と友人の島出身者で現在シアヌークビルのホテルの経営者も出資するので協力してもらえないかとのことでした。工期は2階建て中学校と同じ6カ月です。乾季のうちに工事をできるだけ進めたいとのことでした。

 以上の3校について、渋谷基金の資金を当て、建設の運びとなりました。オーマル小学校は来年4月竣工、センソック中学校、コサムローン中学校は来年11月の竣工予定です。
 コサムローン中学校のあるコンポンチャム州は、国道6号線をひたすらプノンペンに向かい、5時間ほどのところにあります。途中、ゴムの木が等間隔に並ぶプランテーション地帯はとてもきれいな風景です。11月の活動の後に続いて開校式を上げたいと計画しています
     
     
  ▲上段=オーマル小学校建設用地、センソック中学校建設用地 下段=コサムローン中学校のレンガむき出しのままの校舎、高床式の校舎、乾季だけの仮設教室
【その他のこと】

 来年4月の活動は、18日〜22日を予定しています。今のところ、オーマル小学校の開校式と井戸視察、スレン小学校のトイレ建設ですが、4月までの期間が短く、井戸の本数が気になるところです。何卒みなさまのご協力を賜りたく、引き続きよろしくお願い申し上げます。尚、1226日は澁谷壽代さんの1周忌でした。ともにご冥福を祈っていただければ幸いです。

 来年もよろしくご支援賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

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